金澤敏明と澤村明憲の解説と合わせて「細野真彦 対 岡崎信吾」の中盤戦を参考

「細野真彦 対 岡崎信吾」▲66角のあとの中盤戦を振り返る

 

▲66角のあとの中盤戦。

 

ここでも金澤敏明の解説が秀逸。
「これは▲32歩成が王手になるのが強烈。さらに先手には▲13歩成という発想もある。しかし後手は合駒しにくい。」とのこと。これは非常に勉強になった。

 

△44歩▲28飛△34馬

 

岡崎はこれでしっかり受けに向かったのだが、これがいまいちハマっていないようにも見えた。
▲同歩△同銀で細野が様子をみる。これも上級者の考えというか我々はあとになって意図に気づかされる。

 

その瞬間、瞬間には何を狙ってるのかまったく読みとれず、金澤敏明と澤村明憲の2人の解説で初めて気づかされる。

 

例えばこの場面。受けずに△76歩などを狙っていくと、▲13歩成△同歩で桂を抜かれて馬の紐を外されるのだそうだ。

 

以下は飛馬を換えるタイミングから一気に仕掛けられピンチに陥る可能性があるのだとか。▲66角といい▲28飛といい、最近の細野の強さが現れたような一着である。

 

 

▲44歩△同金▲13歩成△同歩▲45歩△同銀▲26桂(83手目盤面図)△同銀▲同飛

 

ここからとどまることを知らない細野の波状攻撃。次は桂馬を補ってから馬を狙っている様子。
岡崎はかなり素早く指して受けてはいるものの、何で取るかも若干難しい。

 

万一取り間違えた場合、一気に両取りや空き王手が入るので簡単ではないと思われる。

 

澤村明憲が語る。
「本当は全部の攻め筋を読み切る必要のある"受けの局面"を指し続けている岡崎さんは実はかなり凄いですよね」。

 

続けて金澤敏明が語る。
「でも最後の桂打ち?これも思いっきり狙い筋があっていいですね。桂で逃げると▲45銀がかなり痛いですし。なんか、罠だらけの筋を指してくるので、駒落ち将棋の上手の指し手みたいです。」

 

△56銀▲同歩△35銀

 

銀桂換えとなった場面で遂に後手の手番。
84手目にしてようやく後手が逆転勝利にむけて躍動をはじめた。そう思った矢先、岡崎が一回受けた。

 

岡崎自身は対局後のコメントで「どこかで△76歩を入れておきたかった」と語ってこのシーンをひどく反省していた。

 

実はこの場面、後手はどうにか33の垂れ歩を抜きたいという頭はあったらしいが、それが意外に楽ではなかったようで、金で抜きに向かうと、後手右辺から空きになってしまうため、△75角以下が受けにくくなる。

 

桂で抜きにかかると今度は▲36飛で利きを集められてこれまた厳しい。

 

そのため、明らかに良くなる攻め筋が見つけられないのなら、攻めるのは勝負手になってしまうというリスクを避けるため△35銀で一度守っておくのが懸命という判断となる。

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