金澤敏明氏と澤村明憲氏の解説をもとに岡崎信吾対木村正一を振り返る

166手の長期戦にて巧みな打ち合いを制したのは?

 

長月杯準決勝 岡崎信吾 対 木村正一
△68銀▲同金△同と▲同角に続く。

 

△56飛▲67銀→後手は飛車を走ったものの見事弾かれ、これで攻め手が無くなったかに思えた。
これで後手側は一気に崩れるように思えたのだが、それでも△26飛として龍を作ることを決定的なものとしてしばらくは我慢の将棋を覚悟しただろう。

 

△57角→木村正一が攻めを繋ぐ。
ここで解説の金澤敏明と澤村明憲が一言。金澤氏「飛車や角を渡すだけの代償のある攻めになるか…」
澤村氏「でも、穴熊崩すなら大駒と金駒の交換は、大駒切った方が得という事は往々にしてあるんですよね。大駒で穴熊は守りにくいですからね。」と発言した。

 

 

76手。
▲79銀打△69金▲56銀△68金▲同銀△同角成▲78金打△同馬▲同金△69銀(76手目盤面図)

 

木村正一が本当に飛角を渡して、その代償に穴熊崩しに食らいついた。
流れるように崩せる順が見つけられないと飛車を渡す順はかなりリスキーである。

 

これで先手穴熊陣に食らいついた木村正一だったが、岡崎信吾は2枚飛車で後手穴熊になんとか応対していく。これで木村正一は詰みの連打でいかないと勝利は厳しい展開に。

 

岡崎信吾も手抜いて攻めると寄せられてしまうので受け続けることになってしまったのだった。
金澤敏明氏が解説で「穴熊を攻めるときに金銀で攻めていると、いつまでたっても駒が入れ替わるだけになってしまうため他の駒を使ったほうが得策と言えば得策」と解説。
、金駒しか手駒のない状況で、さらに手を渡せない状況が先手穴熊の攻防戦を招いてしまった結果になる。ここで岡崎信吾は巧みに受け続けたのだが、我々素人がここで学べることは、このレベルの一手30秒の早指し戦で、間違わないで受け続けられているのは岡崎信吾のような実力者だからであって、我々が真似しようにも難しいということ。

 

この対局はおそらく千日手にするのが互いにベストであった。
しかし最終的に岡崎信吾は危険を承知で打開の攻めに転じたのが悪しき流れを招く結果に。
結局岡崎信吾の攻めは実らず、166手の長期戦にて後手木村正一氏が勝利。

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