金澤敏明二段が自分で「完璧」だったと語る詰めを目撃することができた。

抜け目無しの金澤敏明二段の詰め将棋

 

新春の初対局をするということで、足を運んだ寒空のとある日。
金澤敏明二段が自分で「完璧」だったと語る詰めを目撃することができた。

 

△2九飛▲1六銀△2五銀▲同銀△同金▲2八香△2七歩▲1八銀
△2九飛は△2六桂の陥落がおそらくの目的。素人であればそう打ちたくなる場面なのだが。

 

そう打つよりは△2九飛を打って欲しいのは澤村明則初段の心境なのであろうが、互いにそんな打ち方など幾度と見て手の内を知り尽くしているし大駒がご近所過ぎてあたってしまうということも脳裏をよぎってはいただろう。
この局面に際し▲1六銀もまた難解な展開である。
△2六桂を回避したいのであれば一般レベルは▲3八香を指すのだろうが、そう指したと仮定すると利かされてしまい引きずって敗戦すると考えたのだろうか。
▲1六銀は、△2六桂なら▲2七金でなんとか凌げる想定なのかもしれない。
としても、かなり厳しい。上層の配置が濃くなってきているのでそう易々と入玉される可能性も低いと言えるし飛車をスタンバイさせているのでいつでも発射できるのだから。

 

この場面を打破するべく△2五銀で、銀を手に持って玉の逃げ道を確保したのは金澤敏明二段。

 

▲同銀△同金は致し方ないであろうが、▲2八香△2七歩▲1八銀という風に飛車で攻めたてたのだ。
△2九飛成は▲3七香でも▲3七銀でもふと我々でも考えてしまう場面だった。
一気に形勢が逆転する勝負手だが、金澤敏明二段はその勝負手で見事に押し切った。
その場面は△2八飛成▲同金△同歩成▲4二成桂△3九銀▲5九玉。
△2八飛成が圧巻だった。
だが後々に思えば△2五銀で素晴らしい指し手をしたと思ったのだが▲2八香▲1八銀が意外にも手ごわく一身一体の攻防がしばし続いた。
▲4二成桂は体制を立て直すために指したのだろう。
可能性として考えるならば▲5九玉もあっただろうが浅はかに指せば致命傷ともなり兼ねないとも言えた。
それからは△6六香▲6七銀△同香成▲同角△7七銀▲7八金△同銀成▲同角△5六桂▲6七角△7八金。
澤村明則初段は、この詰めへの一連の流れの中でタフさと耐久性は相当な腕になっているだろうが、金澤敏明二段も次から次へと真新しい運びを繰り出してくる。
この日も苦渋をなめた格好になったのは澤村明則初段のほうだったが、防御耐性力の向上スピードは計り知れないものがある。

 

(金澤敏明二段34歩の狙い)

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