先読みスキルを高めるうえでまず踏まえておくべきこと

ストーリーを作って覚える大切さ

 

「将棋を点で捉えない」とはどういうことか?

 

金澤敏明氏がまた比喩で解説をしていた。
仮に「犬」「お婆さん」「9時」「バス」というキーワードを覚なければならない場合、「犬を連れたお婆さんが9時にバスに乗った」というストーリーがあった方が、記憶がしやすい。

 

これと同じ発想で「▲7六歩」「△3四歩」「▲2六歩」「△4四歩」「▲4八銀」という棋譜を記憶する際、

 

「角交換をしたいがために角道を開けたのだが、対局者が△3四歩だったため横歩取りを思いつき実行。△8四歩と突いてきた場合には▲2五歩と飛車先をひっぱるつもりだったのだが、△4四歩だったため、振り飛車党と考え▲2五歩は決着を避けた」

 

このような流れとして考えたほうが、シーンも浮かびやすく先読みもしやすい。

 

つまり金澤敏明氏が言いたかったことは、点と点を繋ぐ「流れ」でなければならないということ。

 

この「流れ」を掴めていない棋士はいつまで経っても成長ができない。
上級者にはなかなか勝てないということにも繋がるのだと言う。

 

また考え方として「流れ」の無い将棋を指している場合も棋譜を覚えにくいのだと言う。
仮に「▲1六歩」「△9二香」「▲6八玉」「△7二銀」「▲3八飛」という棋譜で考察。
同じ5手であるにも関わらず、理解する難易度が格段に高まっている。
さらには流れを感じて棋譜を覚える人の方がこれでは覚えづらく厳しい戦局となってしまう。

 

その時の気分で流れを感じずに指してしまったら、
「▲1六歩」「△9二香」「▲6八玉」「△7二銀」「▲3八飛」と類似した盤上になるため棋譜を頭に入れることが難しくなる。

 

局面の最善の戦術ばかりがフューチャーされるものだが、実はこの「点」にならないよう工夫をすることがより根本にあるのだと金澤敏明氏は語る。

 

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