7月に催された七夕親善杯の対局から見所を分析する。

七夕親善杯の対局から学ぶ記事一覧

先月の七夕親善杯の1回戦の模様を考察

早速だが、先月7日から催された七夕親善カップの対局から見所の場面を考察していきたい。今回は若手とシニアが入り混じっての幅広い層の対決が多かった。そのため、懐かしい戦術や、懐かしいトリックプレイなども飛び出し非常に見所が満載だったように思える。今回も欠場することなく山下敏子氏や鈴木遥一氏ら恒例の顔ぶれ...

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小島義久氏と金澤敏明氏の七夕親善杯1回戦

小島義久氏が実力者、金澤敏明氏の胸を借りる格好となった1回戦の一番初めの開幕戦。先手金澤敏明氏が▲4五歩へ仕掛けた場面である。▽6三金▲3七桂▽7四歩▲2四歩、▽同歩▲4四歩▽同銀▲4五歩、▽5三銀▲3三角成▽同桂▲2四飛、▽4五桂▲同桂▽同飛▲2一飛成、▽2二歩▲4一角▽6二銀▲8六桂、▽2五飛▲...

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金澤敏明氏の不気味な位置取り

▲2三飛成の後、▲4六銀の戦術では優勢となりそうな▽1二香を上げる攻め手だった場合、この▲4五歩早仕掛けには、劣勢な展開となる事が多い。もしも▽7四歩で▽1二香と指した場合、この▲2三飛成までの場の変化のあとで▲1二竜と香を得しながら、飛車で後手玉を伺える不気味な位置取りができるのも金澤敏明氏の展開...

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歩越しの銀に後手が山下敏子氏は?

小島義久-金澤敏明戦に続いて同じ盤上で行われた山下敏子-中田(安)戦。この対局も非常に見所満載の熱戦であったので一部始終振り返りたい。初手から▲7六歩△3四歩▲4八銀△4四歩▲4六歩△4二銀、▲3六歩△4三銀▲5六歩△4二飛▲4七銀△5四銀、▲5八飛先手は中田(安)。後手が山下敏子氏。▲4六歩から▲...

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数多の選択肢の中で中田(安)がチョイスした道

▲5八飛のあとの続きから。以前、山下敏子氏が金澤敏明氏と対局した最近の親善試合で▲7七桂という手を指していたことを思い出した。△5六銀▲3四角成△4五歩で先手中田(安)は微妙そうに首をかしげながら指していた場面。▲5四歩を指せば面白いと思ったのだがそうは進まず。△6七銀成の際、▲5四飛を準備するニュ...

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失敗を認めることも有段者への道のり

△5七金▲7八玉△6七銀成のあとの盤上。後手山下敏子氏が△6七銀成まで進めるのが最善の策であり、先手中田(安)も8八に玉を交わすことが最善の道なのであれば、△5七金をどのタイミングで指そうと、玉を逃げるルートを確保しようと、明らかな失態の道を選んだという解答を導き出さざるを得ない。△6七銀成のあとは...

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△3二金の意図とは?

何故△3二金をチョイスしてしまったのか?山下敏子氏と中田(安)氏は角落ち程の力量差があり、ここ数年の記憶だと山下敏子氏の9勝1敗という大差が付いている。記録するトーナメントでこの数字ということは交流対局も合わせるともっと差があるのかもしれない。力の差を感じている中田(安)は、△2九龍を取ると自陣への...

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澤村明憲氏の初戦の模様から

七夕親善杯1回戦、他の将棋からも、いくつか局面を記録しておこうと思う。先手が遠藤春義、後手が澤村明憲。後手澤村明憲氏は飛車先が伸びていない事や4三の傷が若干気になるところ。だが、ここからの手順が何とも他の実力者を寄せ付けない凌駕する技を魅せる。△2四歩▲7四歩△同銀▲7六銀△2五歩▲7五銀、△8五銀...

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当日決着のトーナメントの賛否両論

七夕親善杯1回戦の初戦を観戦していて考えたことがある。プロの対局などを観ていても自分の玉をあまり気にしない将棋が増えているようだが、理由としては、公式の大会などでの他人の視線が増えているからというのも理由としてあるのかもしれない。考えようによっては打ち合いのほうが、素人が観戦していても見応え十分で夢...

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オフェンステクニック

この界隈の棋士たちも攻め周辺については、かなりのレベルに達している。澤村明憲氏や金澤敏明氏はもとより、この遠藤春義や中田(安)、金澤敏明氏の弟子である中村氏や内藤氏たちも、攻めのセンスはすでにかなりのテクニックを習得している。例えば先日も遠藤春義が手筋の攻め。▲4一角を見せて銀交換を実現させる。香車...

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矢倉を貫いた伊澤敏夫-田中広重の1回戦

ひたすらに強気に矢倉を貫いた格好となった伊澤敏夫-田中広重の1回戦。矢倉の伊澤に対して後手△9五歩型の場面から振り返る。矢倉は金澤敏明氏や澤村明憲氏らOBチームも多用するこの界隈では割と見慣れた伝統の戦術ではあるものの、伊達敏夫氏ら年配の棋士が指すことはあまりないのだが、ある種、「若い連中に触発され...

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過去の対局を照合しながら伊澤敏夫-田中広重の欠落点を考察

伊澤敏夫氏が巻き返しを図っていた△7三桂のあと▲4六銀から続く。▲8六銀の実戦例としては過去、如月杯での金澤敏明氏-木藤明戦▲8八銀の実戦例としては昨年の師走杯、種村泰明対澤村明憲戦などが記憶に新しい。この対局も全体的に、後手が端で優位に立つことができず、△7三桂からのスズメ刺し(※先手で1筋に飛車...

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△9三香で局面の打破を目論む

伊澤敏夫-田中広重の1回戦続き≫端の位が活きない伊澤敏夫氏。外野では金澤敏明氏、澤村明憲氏ら後輩陣も見守っていた。ここからは続いて△9三香を指した局面を考察。▲3七銀以下△9三香▲4六銀△9二飛△9二飛では、端で香交換しようという意図が垣間見えた。これが達成されると、端の負担が大きいため一気に後手に...

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角香変更の恩恵と△4三金右

△同角▲5四香から続き。やはり角香変更の恩恵は大きいのでは?という考えに基づき登場したのが△4三金右これは金澤敏明氏や澤村明憲氏が学生の当時からすでによく指していた手で、かなりの登場頻度であった。だが、いざ実践での勝率はなかなかいまいちで最近ではあまり観ることが少なくなっていた。伊澤敏夫氏と田中広重...

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類似した局面から異なる盤上へ

伊澤敏夫-田中広重戦(中盤〜後半)▲3七銀のあとの展開。局面はいたって手なりで▲8八玉や▲8六銀のゆるやかな展開で進行する。このようなじれったい展開を後手が良かれと思うはずも無く、後手の作戦そのものを否定する▲5八飛が消滅しようものならばと色めき立つのも無理はない。だが、実際は△9三香の際、▲8八玉...

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▲8六銀が面舵いっぱいとなる

伊澤敏夫-田中広重戦(中盤〜後半)伊澤敏夫が5七銀と引いたあとの展開。以後、小島義久-金澤敏明の時とはフローが異なり3筋の歩を交換する一捻りのアイデアが投じられたのだが、後手に先攻を許す格好となってしまう。▲8六銀がいたずらにこの対局の流れを面舵一杯に曲げてしまったようであった。簡潔に局面を進めたい...

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▲2五桂を回避する銀下げ

ここで考えられた戦法としては、△5三角、△4二銀などである。以前、金澤敏明氏の弟子の横山氏がこの形の攻めを熱弁討論していた際のことが頭をよぎるからである。銀を下げておけさえすれば▲2五桂がぶつかることもなく、後手から先攻をのぞくことが可能になるという手段だ。長期戦になればなるほどに1-2筋のあたりの...

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敗因詮索は勝因詮索

伊澤敏夫氏の▲2五歩のあと。△3三銀▲6五歩△3一玉▲5五歩△同歩▲同銀△5四歩▲6六銀右銀の繰り替えが、伊澤敏夫氏らしいぶ分厚い配置だった。この辺りの感覚は友人の金澤敏明氏と非常によく似ている。△6四歩▲4六角△3五歩▲同角△6五歩▲同銀、△9七桂成▲同銀△9六歩▲8六銀△8五歩▲9三歩△同飛▲8...

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脳裏をよぎった金澤敏明氏の講義

伊澤氏の勝利解説を続ける。飛車を持つと▲6一飛がかなり手強い。伊澤敏夫-田中広重戦を観戦して、伊澤敏夫氏は更に工夫を凝らしていく。▲3七桂のあと、伊澤敏夫-田中広重戦では、△8五桂▲8六銀△6四角▲3八飛△7三銀▲2六歩△4二銀順番は多少異なるかもしれないがこのように進行していた。この展開を観戦して...

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田中広重氏が▲5六金へと一挙に押し上げたこと

▲3七桂のあとに続く。△7三銀型も見え隠れする展開に相手はスズメ刺しから飛車を渡すような攻めが出来ない。△6四角型なので▲6五歩がぶつかる危険性もある。▲5五歩△同歩▲6五歩△5三角▲5五銀△5四歩、▲6六銀△3一玉▲4六角△6四歩▲2五歩△6二飛このシーンで、田中広重氏が▲5六金へと一挙に押し上が...

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