金澤敏明氏によるプチ解説付きで遠藤春義vs澤村明憲を振り返った。

終盤の4六歩が決定的だったと考える

 

霜月親善杯4戦目「遠藤春義VS澤村明憲」

 

霜月親善杯遠藤春義vs澤村明憲
遠藤春義が、相横歩取り角交換型をかなり色々試してきていたらしい。
8五飛車型の戦術は難解なのだが、なぜか角交換型の将棋になっていた。
際立っては飛車角総交換型という我々外野から観ていても滑稽と思えるレベルの内容であった。
以前、羽生名人の本を読んだ際に、飛車角総交換型の定跡がタメになり、実践で試す伊藤流の弟子達の姿がこの界隈で多く観られていた。

 

我々の技術だと、対局者も自分もある程度は定跡の流れどおりに踏まえて実践してみても、途中から互いに曖昧な筋となり、練習にならなかった試しもある。アマチュアとしては、よりたくさん観たい戦術ではある。

 

それにしても羽生名人は、定跡が苦手と言う人にも自分自身の将棋の道にスパイスを与えるというか、感銘をうける内容が多く、十巻まですべて読む価値は十分にあるだろう。

 

澤村明憲は3五飛が新手とのことだったが、まるで思いつきのようにいともたやすくそんなプロ顔負けの手を指してくる。このとき外野では、彼らには声の届かない別室でモニター越しに金澤敏明氏によるプチ解説があったので興味深くこれを聴きながら観ていて得るものは大きかった。

 

それから終盤に差し掛かったところで4六歩も印象に残っている。
これは澤村明憲にとっては大したことのない一手なのかもしれないが、これには遠藤春義も打つ手なしの腕組長考。
先々月の金澤敏明戦のときにも感じたが、盤上没我に配置された陣がよくビジョンとして映し出されていて、「第二の伊藤師範」となることを期待させる圧巻の内容での勝利となった。

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