目的ではなく手段とはどういうことか?
金澤敏明氏は局面を読むということは目的ではない、手段なのだと語った。
例えば100手先を読んで結論が出なかったとしたら、101手先を読む、200手先でダメなら201手。
先読みの詰めが甘いのなら、先読みの先を読む。つまりは言いたいのは量のことを指し示していたのだろう。
それならば成熟した読みとは何を指していたのか?
ある参加者が同様の質問をしてくれたので注意深く回答をうかがった。
「脳が無意識に作動し駒が動いている際、同時進行で何を考えているかということです」
金井氏の言葉だ。
例えば通勤時、「あの曲がり角は7時40分。あの店の前では7時50分」とか、信号の変わる早さというのは経験があるがゆえの予備知識であり、知らずに通過する道ではそんなことは意識せず歩いている。「今日も上司に怒られるかな」とか、「新しい業務覚えなきゃなぁ」とか違う事を考えていますよね?それと同じです。」とまた比喩表現した。
プロは100手であっても200手だとしても読めと言われれば千手先まで読む人も居るかもしれませんが、自分の順番の度に「今100手先まで読んでいますか?」と質問されても必ずしもというわけではないのだと語った。
駒を脳裏で無意識に動かしている中で、「これはまずい」と判断して、10手も読む以前にその筋を切り捨ててたり、「この筋でいけば絶好のチャンスが訪れる」と先読みで判断し、あえて一手しか選択肢を設けなかったりする場合もあるのだと言う。
ゲームやコンピューターの世界ではもちろん何千手も何万手も先を読んでいるなど噂は聞きますが、生身の人間の偉大なところは、あらゆる要素を同時に行えることにある。
最後に金澤敏明氏が語ったこの言葉が一番印象に残った。
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