澤村が苦しみながらも島田から勝利を収めた霜月杯準決勝の模様

金澤敏明氏も観たことがないと語る角の偽装

 

霜月杯準決勝の模様を綴る。

 

1回戦遠藤春義を"プロ顔負けの手"によって退けた澤村明憲だが、当日2試合目の相手は島田良太。一筋縄にいくかどうか見所十分の組み手となった。

 

ポイントとなったのは銀のように細かく躍動する澤村明憲の▲7九角であった。

 

澤村明憲の筋は6八と5七に金が居て、角を7九に下げても重なるように角の筋が止まっていて躍動させることが困難だった。
だが、後半にこの7九の角は後手の攻めが積みになるのを阻止し先手島田の玉が左に退いていく逃げ道を作ってしまっていた。

 

仮に振り飛車の金無双で考えると2八の銀を3九にさげて左の守備を高めつつ壁銀を払拭して玉の逃げ道を安全にする施策はないこともない。

 

だがこの対局の鬼門は角であった。

 

これを別室で観ていた金澤敏明氏が「澤村君は、角をまるで銀のように使っていましたね。このような動きはあまり観たことがありません。」と幾度と交えていても初見に近い状態であることを語っていた。

 

正確には▲7九角の周辺で澤村明憲氏の方が厳しめで、澤村自身も必殺の攻め手で「つまらない将棋にしてしまった。」と感想を語っていたようである。

 

だが、その後島田の方にも凡ミスが出て澤村が有利に逆転し、最後は存在意義のなかった7九の角が受けにおいてちゃんと有効化できたため将棋というのは本当に皮肉というか、よく分からないものである。

 

結果的に考えれば▲7九角は厳しいながらもよく我慢し凌げて逆転勝利を収めることにも繋がったのだ。

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