粘る美学を学んだ2回戦名勝負。外野からも拍手喝采。

見事な敗北、美しい敗北に拍手喝采

 

木村正一氏の最後の粘りに続く。

 

普通に考えれば、95%以上、といっても過言ではないほどに、負けが決まっているが、万が一こうして回避し続けていればひょんな好機が訪れるかもしれない。結果的にもしこの対局で逆転勝利するようなことがあれば、ドラマチックだったのだが、結論から書いてしまうとそれは無かった。
だがこの対局を終盤までしっかり記しておこうと思う。

 

形勢は難しかったが、後手村明憲初段の攻めが少し重く決め手に欠く。
△3八金▲同金△2九飛成▲3九金打△1九龍▲2八角△1八龍▲3六角△2六桂▲6四歩
先手木村に一服休憩できるチャンスが訪れる。日差しの差し込んだ瞬間だった。

 

▲4六歩以下△2七金▲同銀△同角成▲3二金

 

だがすかさず△2七金は鬼の一手。もちろん澤村初段も容赦はしない。
一手前と異なり△同角成に▲4八金右と逃げる気にはならなかったのだろう。
従って▲3二金とやりあう格好となった。

 

△同飛は当然▲2七金。そして2四や2六に逃げるのは▲1五角。△2三飛は▲4一角と絡む手が▲4二金の王手飛車狙いだったであろう。

 

▲3二金以下は△2五飛▲5七角△2六飛▲2七金△同飛成▲6四歩

 

この展開によって△2五飛一択しか考えられなかっただろう。
▲4七角が飛車取りにしながら桂の配置が面白い。
後手澤村初段の玉は守備が弱く、飛車を取られては持たないこともお互いに分かっていただろう。

 

最後の最後、木村正一も敵将の顔が見えながら散っていったような闘いだたった。

 

観戦していた金澤敏明氏、山下敏子氏らも拍手喝采の2回戦であった。

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