金澤敏明が事前にどこら辺りまで研究していたのかも忘れてはならないだろう。

1時間52分の激闘の末、金澤敏明が鈴木遥一を退けた闘い

 

いずれにしろ、いかにも鈴木遥一氏が研究を準備万全に備えてきている陣形に対して、金澤敏明が時間を惜しみなく使うことでその場で徹底的に先読みしているようで、凄まじい圧力があった。

 

ふと気を緩ますと一気に勝負のつきかねない空気感があった。
単純にこれを図で考えると「予習研究」VS「先読み」の闘いなので、鈴木遥一氏にとっては自信のある研究形での敗戦はやはり痛いだろう。特には必ずしも予習で負けているわけではないのかもしれないが、どうも封じ手より先は難解なパターンにしても少なくとも金澤敏明が悪いということでないような気がして、金澤敏明のその状況における先読み察知能力の凄さがまざまざと証明されたような気がして仕方がない。もちろん金澤敏明が事前にどこら辺りまで研究していたのかも忘れてはならないだろう。

 

ある人物が、今回鈴木遥一氏が勝てないとすれば事前に入念に研究準備していた封じ方をさせてもらえていないからだと語っていた。(これは名誉のため人物名は伏せるが)

 

金澤敏明は封じ手で駆け引きを仕掛けてくるような棋士ではない。
自ら封じ手について色々意識下で戦略を練っていることを公言しているような小島や横山氏のような棋士とも異なる。
今回も、結果的には封じ手が精神的プレッシャーを与えることになったかもしれないのは否めないが、推測するに金澤敏明とすれば、単純によく読まないと封じられない場面で、たまたまベストと判断した手が厳しい戦術だっただけに過ぎないのだろう。
ただ金澤敏明の場合、意識的に何ら策を凝らしているわけでもないのに、結論的に勝負師のような絶妙な戦法となっていることは多いだろう。

 

113手。1時間52分の激闘の末、金澤敏明が鈴木遥一を退けて夏から3トーナメント連続の決勝進出を決めた。

 

 

激闘に終止符(将棋盤)

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