金澤敏明氏の巧みの業を盗む考察
第9回神無月杯2回戦第二試合:小島義久VS金澤敏明だが非常に興味深い対局だったため、今回個人的視点は掲載しない予定だ
ったが棋譜を考察してみたいと思う。
まず注目したいのは19手目の▲3六歩。
普通は矢倉5手目▲7七銀のオーソドックスな戦術では、▲2六歩△6三銀▲2五歩△5二飛に進行し、先手が渋るのを待ったりする。同じ2手なら3筋を活かした形のほうが歩も当てやすいし局面を打開するには好都合というのがセオリーなのだがこういった細かさも流石としか言いようが無い。
21手目▲3五歩を△同歩と応じると、▲同角△5五歩▲同歩△同角▲1八飛△5二飛▲6八玉△7三桂▲5七銀△2二角▲4六角
これが個人的には想定していた手順。
△6五歩を防ぎつつ、次の▲3八飛となるとフェイクを入れるのも面白い。
だが金澤敏明氏が指したのは22手目△5二飛だった。
一歩損はするものの、駒の効率が良いと気づいたのはこの遥かあと。
瞬間的にこれを指してくる金澤敏明氏はいったいどれほどまで引き出しが豊富なのか脱帽する。
先手小島にとってみれば居玉が脅威であり、苦し紛れに盤上の配置を変化させどうにか長期戦に持ち込もうとしているのだが、34手目△6二飛となっては持ちこたえることもできずに崩壊していく。
それ以後も金澤敏明理論というか流というか・・・。
鮮やかな手なりのパターンが盤上に繰り広げられ小島の陣はみるみる崩壊。
44手目△6五飛や、52手目△5五角など実戦でこうした曖昧で読めない指し手というのも決め方は難しい。
結論、局を制したのは、やはり16手目△7四歩に▲7九角と引いたところだろうか。
矢倉中飛車に対しては、居角で対処すべきなのだと学んだ局面でもある。
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