金澤敏明氏の解説どおり▲72金が結果的に森下にチャンスを与えたのか?
▲52と△59成銀▲42と△同金に続く。
▲34歩△67角
一度攻めの途絶えていた木村正一だったが飛車先の歩を突いて攻め筋を作り、ここで森下秀郎の反撃の角の打ち込みが待ち構えていた。
79手。▲33歩成△同金▲44銀△同金▲32歩(79手目盤面図)
金澤敏明氏が解説で一言。
「これは凄い手の作り方、私なら思いつきません。」
79手目盤面図の局面になるが、どちらが優勢かこの時点でも判断は難しいだろう。
単に玉型の乱れからすると後手が乱された感もあるが、ここからの森下秀郎の受けがなんとも連続年間王者の実力を遺憾なく発揮する。
△42銀▲52成桂△33銀
澤村明憲氏が一言。
「すごい銀捌きですね。。これで銀を避けながら敵の飛車を線でくい止めることになりました。」
成り駒2枚と飛車の衝突を、角銀の2枚と飛車の横利きという非常に守りにくい駒だけで受け止めてしまったのである。
▲72金△83飛
木村正一、この飛車の横利きをしとめにかかる。
その狙いは見事だったのだが、持ち駒の金でいったのがやがて致命的なミスとなる。
これには森下秀郎の表情にも笑みがこぼれたようにもみえた。
▲41成桂△48歩
穴熊崩しのと金攻めである。
先手玉は屈強な守りだが、後手玉はどうも寄りそうにない。
気がつけば盤面は後手が逆転していた。
金澤敏明氏が一言。
「飛車筋を逸らすためだけに打ち込まざるを得なかった▲72金が結果的に森下さんにチャンスを与えたのでしょうね」
ここから森下秀郎の攻めの穴熊崩しと、守りの玉捌きが容赦なく。
108手にて後手森下秀郎が勝利を収めた。
こうして長月杯は森下秀郎の優勝。
準優勝には木村正一と、熟年将棋士が若者たちを圧倒した形に終わった。
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