実力者の拮抗した攻防で起こり得る立場の逆転劇。金澤敏明二段の相振り飛車戦法を見事打ち破る澤村明則初段。

拮抗したレベルで起こり得る事故

 

●目論み崩れ金澤敏明二段の逆転負け

 

相振り飛車戦法で後手金澤敏明二段が勝勢の展開であったが終盤珍しく致命的なミスをする。
銀で角を落とすことで安定した試合運びをする目論見だったのだろうか。

 

澤村明則初段の桂の指しで紛れこじれた展開になると対戦が長引き結果、後手金澤敏明二段は逆転負けをきする。

 

この対局で起こりえた展開としては46飛車と王手する手だったかもしれない。
金澤敏明二段は以前からこのような局面でよくそういったセオリーどおりの指し手をしていたのだから。
46飛車よりも安牌の手を選択し逆転負けをしたように見えた。
65玉に歩を成った手が次に66飛車の攻勢。同金と落とせば角成から桂馬を入手して新たな展開が期待できた。63銀成には同金でなんの失態もないだろう。
澤村明則初段もさすがの応戦であった。

 

●後手番相振り飛車が一筋縄に刺さらない

 

上記、金澤敏明二段の相振り飛車を取り上げたので今度は逆に澤村明則初段の相振り飛車した対局に注目したい。
金澤敏明二段の64歩が悪手で17角成から詰みの可能性があった。しかし38金から17角成で攻勢をかけたが63歩成から詰まれて敗退。

 

後手番相振り飛車には落とし穴があるのだろうか。
上記に挙げた後手金澤敏明二段の逆転負けと形成は違えど類似した展開に見えた。
順当にいけば圧倒する後手相振り飛車のはずなのだが、このレベルの両名でも時折このような末路を招くことがあるのだ。

 

●たらればを当てはめてみる

 

後手番角交換振り飛車から後手澤村明則初段が攻勢にかかる。だが49飛車を指した手が馬とぶつかった瞬間から形勢が怪しくなった。
後々に気づくことだが48飛車だった場合どうなっていただろうか。合い打ちとなり馬が王手でおとせるというシミュレーションである。
長丁場は覚悟だがあの場面では必勝第一を考えるのは素人の見解なのだろうか。

 

48飛車の場面では69銀も考えられた。69銀は78飛車の攻勢。
68金〜58銀→成同金67金同金に48飛車から、王手で馬抜く筋になった。
真っ直ぐに仕掛けたことが致命傷になった対局に思う。

 

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