金澤敏明二段の鮮やかな逆転攻勢が光る連戦の名場面

寄せ切れない澤村明則初段といなし打ちの金澤敏明二段

 

■局面の中で盲点であった桂うち

 

金澤敏明二段

居飛車の将棋を打つ澤村明則初段。力戦型、相居飛車の将棋であった。
後半の展開では先手に厳しい攻勢が続く。
ほぼ序盤戦における戦術負けの内容に見て取れた。だが、このような対局でも千載一遇の機会が一度訪れる。
その局面について。▲55銀と出て▽54歩に▲44歩と対抗し、▽42金引とされたシーンでは、▲35桂と打ったのだが、実は▲34桂が在ったのだ。
らしからぬミスなのか。想定内の範疇のことなのかは分からない。

 

飛車と角が身動きが取り辛い状況の中、これをしばらく気に止めていたのと、やや無理やりに▽44歩と指して55の銀が打たれる可能性もあり、その2点にばかり集中を奪われているとしたら、有段者らしからぬ展開である。
想像のうえをゆく両名の対局ゆえ、それは考えづらい。その後▲48金が厳しい状況ながらもそう簡単には陥落しない陣形にも見えはしたが、▲55角〜▲44歩でしのぐ展開も考えられただけにやや意外性はあった。

 

澤村明則初段の寄せの甘さか金澤敏明二段の範疇か?

 

3戦目での場面。澤村明則初段は、角換え振り飛車からしばらくの間、勝勢であったのだが、やや強行気味に安定勝ちを狙おうとしたのだろうか。
結果、決め手を逃し逆転負けをした。▲43と▲31角成からの詰めによって後手金澤敏明二段は受け無しの形だった。
115手目に▲同馬▽同玉▲54角▽同玉▲53金▽55玉▲56銀という展開も考えられた。
141手目に▲39金打でも先手澤村明則初段の勝勢。相手が悪かったというしかないのだろうか。
この後金澤敏明二段のいなす攻めの前に総崩れして敗北となったのは、澤村明則初段の寄せの甘さなのか。

 

分岐路となるシーンは序盤にあった

 

5手詰の名シーンに思える場面が4戦目に垣間見えた。局面はまたしても先手澤村明則初段の優勢。
▲36桂や▲69香など様々な手が考えれる状況だった。指し手が様々考えられる場面は優勢であると言えるが、こういった相手が油断している状況下から気が付けば巻き返して見事な逆転勝利している金澤敏明二段の光景をこれまで幾度となく見てきた。
案の定▲69香がいまいちな手となってしまい馬に逃げられ情勢は対等になった。▲48銀が致命傷となったのかもしれない。
訳は▽66馬が龍にぶつかるためである。だが金澤敏明二段も▽66馬に脇目も振らず▽67馬だった。
▽57同馬のポイントでも龍取りになっていることをスルーし▲69桂馬。
一連の展開によって気が付けばフラットな展開へと戻っていく。中盤になると澤村明則初段も打つ手に困っている様子。
ファンとしては▲69金を摺り寄せ堅くしたあと▲64桂から攻める展開を見たかった。▲58金左に際し、▽54竜なら▲55香があると思ったのだが。

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