金澤敏明は相掛かりにおける中原囲いのスペシャリストであることを再確認。

神出鬼没の金澤敏明氏の相掛かり

 

水無月T決勝戦は金澤敏明-澤村明憲に続く。
金澤敏明は相掛かりにおける中原囲いの達人であることもこの界隈では知られている。

 

金澤敏明自身はこの相掛かりを用いた際の勝率が体感で7割以上とかなりだが、対戦相手次第で当然これもぶれるため、一概に勝敗を予測するのは難しい。
どうしてこの相掛かりを毎回指さないかというと、羽生名人が後手で2連敗した過去があるため、このことが脳裏をよぎっているのではないかと我々も推測する。

 

相手が強力な実力者だといともたやすく対策されたり鮮やかな戦術に逆にはめられたりするため、拮抗したレベルの闘いではあまり用いないのだが、この日は対局しなれた澤村明憲初段相手に堂々と用いてきたことに驚きを隠せなかった。

 

ちなみにだが類形を含め、後手の勝率が基本的に良くはない。
横歩取りのそれに比べて、先手にかなり好き放題に荒らされてしまう傾向は否めない。
駒の損得が少ないうえに手の損得もほとんど無いため、先手がリードを奪いやすい傾向にある。

 

トータル久しぶりの対局で、しかも定例トーナメントの実力者が集まった今大会の決勝にべたに用いてきた金澤敏明二段の起用に意外性を感じた。(これは何か意図がある)我々外野でもそう思うのだから澤村初段も当然心の中で身構えていたに違いない。

 

注目すべきは、1筋の位取りがかなり迅速であったことが挙げられる。
「端の2手の分を中央に転回させば、優勢に進められる」と読むのがセオリーでもある。

 

達人金澤敏明でも、端は受けている展開が多い。
また、本局の見所としては当然、澤村明憲の対抗策にも留意してみていた。

 

この決勝までの闘いで観られたような▲4五銀からの積極策は、あまり指してこなかった。
(△5五歩型はあったのだが)

 

金澤敏明氏の相掛かり

関連ページ

水無月Tの観戦中
今月もローカル対局トーナメント、水無月Tが開催されている。1回戦速報の模様をノートから投稿。
水無月T。Bブロックの模様を掲載
先日の水無月T1回戦の模様を掲載
前回雪辱を果たし金澤敏明が勝利
皐月T2回戦の対局結果と対局の分岐点を解析してみた。
2回戦の澤村明憲−木村正一戦を分析
2回戦の澤村明憲−木村正一戦を様々な可能性を考えながら解説してみた。
澤村明憲氏の巧みな追い込み
澤村初段の巧みな戦術についに玉も動かざるを得ない展開へと追い込まれていく。木村正一目線でこの場面を考えてみた。
木村正一氏の最後の粘り
簡単には負けない木村正一氏の粘りが際立つ素晴らしい対局となった、終盤にかけての展開を考察してみた。
噴煙の中、敵将の顔が見えながらの敗北
敗北した木村正一への惜しみない拍手の理由。
水無月T決勝戦は金澤敏明-澤村明憲
水無月T決勝戦第1局の模様を詳しく解説しているページ。
澤村初段の△5四歩が風向きを変える
第1局の終盤にかけての名場面ポイントを分析。
先読みを噛み締めるように長考を挟む金澤敏明氏
序盤から深い将棋が続く場面で金澤敏明氏の長考が目立った場面を振り返る。
矢倉先手金澤敏明流早囲いに澤村明憲の暗中模索
見慣れた両者の対局だが、2戦目は一風変わった展開になる。
金澤敏明氏は自己流の早囲い
澤村初段の矢倉封じの本質はどこにあったのだろうか?
▲3五歩で場面は一気に架橋に入る
名勝負の勝負の機転を振り返って考察していく。