3筋の歩を交換する一捻りのアイデア
伊澤敏夫-田中広重戦(中盤〜後半)
伊澤敏夫が5七銀と引いたあとの展開。
以後、小島義久-金澤敏明の時とはフローが異なり3筋の歩を交換する一捻りのアイデアが投じられたのだが、後手に先攻を許す格好となってしまう。
▲8六銀がいたずらにこの対局の流れを面舵一杯に曲げてしまったようであった。
簡潔に局面を進めたいのならば▲3七桂に跳ねていくべきでもあった。
後手は矢倉へ突入するのが自然な展開であったうえ、▲2六歩▲3八飛型から▲3五歩となりさらに▲2五桂のような攻めが間に合ってしまうと先手が一気に優勢になる場面でもあった。なぜなら△6二銀がこの鬩ぎ合いの中で非常に中途半端な駒となるからである。
このシーンは△4二角、△3一玉の二手以上に、▲2六歩、▲3八飛の二手の方がいろんな場面で可能性の幅が高いという金澤敏明氏の講義を思い出す場面でもあった。
とは言え、強引な攻めをできるほど状況は甘くはない。
後手の陣営はあれこれできるような健全な状態でないため▲2六歩、▲3八飛に対抗できる二手を何か検討しなくてはならないのだ。
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