▲75歩△同歩▲74銀△51角となった後から中盤戦を振り返る
先手澤村は攻撃の拠点となる箇所も打ち合う場面も設けてはおらず、後手の金澤敏明は6筋の位取りと銀の稼働で一挙に総力戦に打って出る様子。昨年までの金澤敏明氏ならばこのような手はあまり観られなかったためかなり斬新である。
ここから局面は一気に打ち合いになっていく。先手の澤村明憲にとっては後手の金澤敏明氏に手番を握られたという部分において、腹をくくって突撃。▲49飛が手損になっていた可能性もあったのでこの判断は結果的に良い判断であった。
これだけ攻めが続いて破れないと、受け潰しの展開が予想された。
終盤、72手目盤面図を参照。
この盤面図自体がインパクトがある。
後手の金澤敏明は銀取りが掛かっていて、しかもそれを△87銀成と交わしながら8筋から切れ込んでいく作戦に打って出るはずだっただろうが、これを手抜いての飛車角両取りに出る意外な展開。
これが必然的にいずれかを突破できてしまうため、あるいはこれで寄り筋や挟撃戦術に持っていけるなら理解もできるというもの。
結果、角金交換になって終焉を迎えたのでは目も当てられない。
金澤敏明の将棋は解読が難解。
また受ける澤村明憲もさすがである。
▲44飛△43金右▲46飛△37金▲同桂△33角となった場面。
この場面は金澤敏明が圧巻。なんと△33角と上がった時の角の通り道をこじ開けるための攻めの督促だったと考えられる。これには、先手澤村も一気に追い込まれてしまった様子。
次に△55角が入ると投了ものである。
これに対し澤村は▲56金か銀で対応してしまった場合、△55歩で一巻の終わりとなるのは明確。
そんな低レベルな手は指すはずもなく、長考に入る。
推測だが、澤村の思考を考えるに、飛車道を止めてでも▲45金となるし、△55角は防げる可能性はあっても、勝ち筋が消えてしまう、はたまたいかに…とでも悩んでいただろうか。
後編へ。
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